2016年度参加 親泊千明さん 世界広がるきっかけに



「当時の資料を広げ、新報サイエンスクラブで得た経験を語る親泊千明さん=6月20日、宮古島市の琉球新報宮古支局

 「世界がどんどん広がった」。宮古高校3年生の親泊千明さん(17)は新報サイエンスクラブ(2016年度)に参加した意義をそう振り返った。17年にはクラブでの研究を基にした作文で、世界155カ国から1万5千点余りの応募がある五井平和財団国際ユース作文コンテスト(子どもの部)で2位の優秀賞を受賞した。県の人材育成事業生にも選出され、ミャンマーやカナダでのサイエンス研修にも参加した。
 親泊さんはサインエスクラブで友人と2人で宮古島市の大野山林に生息する野生化したインドクジャクによる在来種への影響を調査、発表した。動物や自然が好きで大野山林によく訪れていた。「キジバトなど在来種の鳴き声が少なくなっていた。外来種のクジャクの影響かもしれないと気になった」
 やぶをかき分け生態を調べ、駆除されたクジャクの胃を手に入れて解剖も挑戦した。「解剖が楽しかった。雑食なので在来種の小動物が胃に入っているかもしれないと予想したけど植物ばかりだった」。調査を基に仮説を立てて検証する。まさに研究だった。
 「サイエンスクラブでは、大学の先生から研究の進め方を教えてもらえた。初めての経験で楽しかった」と振り返る。なによりも「ためになった」のは、レポートをしたためることだ。「自分の考えを文章にして伝えるということを学べた」と話す。
 国際コンクールで優秀賞を獲得した作文はクジャク研究を基に「自然の力と知恵を知ってほしい」との思いを込めた。「(受賞は)思いが多くの人に伝わったんだとすごくうれしかった」と話す。
 県の人材育成事業の応募理由書にも、もちろんクジャク研究で得た経験を盛り込んだ。研修先のミャンマーとカナダでは、各地の自然環境保護、社会や医療を学び、世界で活躍する人々と出会った。「私も世界に出たいと思った」
 漠然とした夢だった「生物や人を守りたい」という思いが海外に出たことで医師という明確な目標に変わった。「きっかけはサイエンスクラブです」。きらきらと瞳を輝かせて笑った。

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