糸満市真栄里海岸における打ち上げ貝の採取調査III~打ち上げ貝はどこから来るのか?~


上原一路(糸満市立糸満中1年)

打ち上げ貝の存在証明に奮闘


真栄里海岸の打ち上げ貝の採集に取り組む上原一路さん。貝は全てラベリングして保管している=2018年8月、糸満市

 糸満市真栄里海岸の貝殻採集を続けて3年目の上原一路さん(13)。今年は生きた貝の調査も始めた。「打ち上げ貝で見つかった貝が生きた貝でも見つかれば、ここにいる証明になる」と力を込める。採集した貝を「A(生き貝)」、「ND(死んだばかり)」、「D(死殻)」の3段階に分類し記録。生きている貝は発見場所を地図に落とし込む。海岸近くの無人島や大潮に現れるリーフで多く見つかった。
 今年採集した貝は96科355種。昨年より11科増27種減だ。今年初めて発見したのは65種。生き貝は38科77種発見できた。昨年と比較し、種は増えたが総数は減少した。「数年前は二枚貝がとても多かったが、今年はかなり減った」と話す。例年春頃海岸を埋め尽くす海藻が、今年は5月以降も何度も打ち寄せた。奄美大島沖での石油流出事故の影響か海岸の汚れが目立った。「気象や海水温の変化のせいかサンゴ礫も増えた。気候の変動が生態系に影響を与えている」と指摘する。
 真栄里海岸は2020年から護岸工事が始まる。「工事が始まれば気候変動以上に影響があるだろう。レッドデータに載っている貝が減少する可能性がある」と懸念。「今ここにどのような貝がいるのかきちんと記録するため、これからも調査したい」と力を込めた。

〈一言アドバイス〉

 多くの打ち上げ貝の採集、同定素晴らしいですね。採集した打ち上げ貝の生態を参考にして生き貝の生息場所をインターネットで閲覧できる国土地理院のエージナ島付近の沿岸海域地形図を参考にして推測してはどうでしょう。 (與儀)

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